ユーロモニターインターナショナルは12月3日、ウェビナー「Economic outlook for 2026: Global forecasts and insights」を配信しました。ウェビナーでは、2025年に発生した貿易摩擦や関税ショックによる市場混乱を踏まえ、今後の経済への影響、消費者の購買力や所得の成長見込み、ビジネス機会へのインパクトについて解説。さらに、成長ドライバーや地政学的リスク、コスト圧力が続く中で注視すべきシナリオも取り上げました。
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本記事では、ウェビナーで取り上げた経済の成長動向とインフレのトレンドを主要地域ごとに整理し、ビジネス戦略に役立つインサイトをお届けします。
アジア太平洋:成長の二極化
- 中国
輸出のASEANや欧州への多様化が進む一方、不動産市場の低迷、住宅価格の下落、建設活動の減速、労働力の縮小が成長を抑制。インフレ率は依然として低水準で、2025年のゼロ近辺からわずかに上昇する程度にとどまる - インド
域内で最も高い成長率を維持。強い国内需要、投資、構造改革が後押しし、インフレは需要増により上昇傾向 - ASEAN
製造業活動、観光回復、地域貿易の堅調さにより、安定した中程度の成長を見込むものの、世界的な不確実性がリスク要因 - 日本・オーストラレーシア
日本は高齢化と脆弱な消費が、オーストラレーシアは高金利、住宅市場の冷え込み、慎重な家計がそれぞれ成長を抑制
欧州:輸出依存と政策リスク
- ユーロ圏・英国
成長は鈍化傾向で、2026年にはさらに軟化。ドイツやイタリアはGDPの約3割を輸出に依存し、米国の貿易政策変更が大きな逆風に。南欧諸国(スペインなど)はサービス業中心で比較的堅調。インフレはECB(欧州中央銀行)の目標レンジに戻り、2026年は安定見込み
中東・アフリカ:高成長と格差
- GCC(湾岸協力理事会)諸国
原油・ガス輸出と非石油部門(サービス・建設)の拡大で4%超の成長 - イスラエル・エジプト
イスラエルは紛争後に回復が見られ、エジプトは構造改革と観光・農業の反発で域内最速成長 - サブサハラアフリカ
平均4%成長も、南アフリカは改革停滞で1.3%に留まる。インフレはエジプト、スーダン、ナイジェリアで10%超
ラテンアメリカ:政策不確実性と外部リスク
- アルゼンチン
改革継続で比較的高成長、インフレは金融引き締めで低下 - ブラジル・メキシコ
ブラジルは政治不安と需要の減速が残り、米国の新関税で輸出に逆風も。メキシコは米国経済に強く連動し、製造業・ニアショアリングが支えるが、関税リスクが残る
北米:成長鈍化とインフレ圧力
- 米国
2025年は関税不安と金融引き締めで減速。住宅・サービスコストや輸入関税の影響で、2026年もインフレはやや高止まり - カナダ
成長は緩やかに改善、インフレはカナダ銀行の目標付近で安定
まとめ
世界経済は地域ごとに異なる課題と機会を抱えています。輸出依存度の高い欧州や政策リスクを抱えるラテンアメリカ、構造改革が進むアジアなど、各市場の特徴を踏まえた戦略が不可欠です。より詳しい内容に興味をお持ちの方は、オンデマンドウェビナーをご視聴いただくか、東京オフィスまでお問い合わせください。