K-ビューティの世界的な歩みは、新たな局面を迎えました。かつては中国が圧倒的な輸出先でしたが、現在はその構図が大きく変化し、米国が総売上の半分以上を占める最大市場へと浮上しています。2011〜2018年のK-ビューティ1.0は、韓国式スキンケアやBBクリームといった革新的な商品が注目されました。一方、2020年以降のK-ビューティ2.0は、高度な技術、グローバルブランド戦略、そして手頃な価格帯で高品質を提供する中価格帯製品が成長の原動力となっています。
※ 本記事は、ユーロモニターのE-Commerceデータ(2025年第2四半期まで)を基に構成されています。最新版の2025年第3四半期データを含むホワイトペーパーは、こちらからダウンロードできます。
主要輸出先の転換:中国から米国へ
ユーロモニターのE-Commerceシステムによると、K-ビューティの主要輸出先は中国から米国へと移行しました。2025年上期の海外EC売上の55%が米国市場と、2022年の20%から急伸しています。一方、中国のシェアは66%から20%へ急落しました。背景には、C-ビューティ(中国ブランド)の台頭や、韓国ブランドに対する中国消費者の関心低下が影響しています。
K-ビューティブランドは、明確に「中国依存からの脱却」戦略を進めている
出所:ユーロモニターインターナショナル

普及が進む市場:米国、日本、オーストラリア
K-ビューティの普及率は国やカテゴリーによって異なるものの、スキンケアとサンケアは多くの市場でカラーコスメを上回る存在感を示しています(中国と日本は例外)。特に、米国・日本・オーストラリアが成長のホットスポットとして浮上しています。米国では、2024年時点で上位300ブランドのうち35ブランドがK-ビューティでした。
COSRX、Laneige、Anua、Beauty of Joseonといった主要ブランドは、
- 軽いつけ心地
- 機能性重視の製品開発
- デジタルメディアがもたらす韓国カルチャーのソフトパワー
などを強みに、消費者の支持を獲得しています。
また、14ヵ国のECサイトにおける売上を追跡しているユーロモニターのE-Commerceシステムによれば、年間売上1億ドルを超えるK-ビューティブランドは2024年には5社となりました。さらに、24ブランドが2000万〜1億ドルを、58ブランドが100万〜2000万ドルの売上を達成しています。

K-ビューティの次の局面:技術革新と米国関税リスク
韓国の先進的な美容施術の知見は、次世代のK-ビューティ製品開発を大きく後押ししています。本来は医療施術で使用されていたPDRNやエクソソームといった成分が一般的なスキンケアへ広がり、プレミアムラインの拡充を加速させています。
さらに近年は、スキンケア発想を他カテゴリにも応用する「スキニフィケーション(Skinification)」の潮流がヘアケアにも波及し、頭皮ケアが注目カテゴリーとして成長。Dr. Grootのようなブランドは、頭皮用トニックや角質ケアスクラブなど、ターゲットを絞ったソリューションで存在感を高めています。
一方で、米国の関税政策はK-ビューティにとって大きなリスクです。最大輸出先である米国において、2025年第2四半期に自由貿易協定終了の可能性が浮上したことで、価格上昇への懸念が消費者の間で広がりました。コスト上昇は、K-ビューティの大きな強みである“手頃さ”を揺るがし、ブランドロイヤルティを損なう恐れがあります。
こうしたリスクに対し、有効な戦略は2つあります。
- 地域分散によるリスクヘッジ
・東南アジア、ラテンアメリカは高成長市場として有望
・欧州でも需要が伸長し、西・中央が急拡大する一方、東欧は未だ認知獲得の段階 - プレミアム化による収益性強化
・価格帯を引き上げ、関税の影響を軽減できる余力を確保
・ブランド価値を高め、政策変動への対策を構築
特にプレミアム化は、ブランドの競争力強化だけでなく、経済的レジリエンスの向上につながります。
詳しくはホワイトペーパー「Glass Skin & Global Wins: The Rise of K-Beauty」でご確認ください。
K-ビューティおよびアジア太平洋地域の美容市場に関しては、ブログ記事「2025年 アジア太平洋の美容市場:中国・日本・韓国の成長ドライバーとは?」も合わせてご覧ください。