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RTDコーヒー市場:日本での伸び悩みと、韓国と中国での成長

11/30/2021
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本記事の内容は、Tea & Coffee Trade Journal (November 2021) に掲載されたものです。

アジア太平洋地域は、世界最大のRTDコーヒー市場だ。2020年の小売販売量は45億リットルに達し、世界の総販売量の約80%に及ぶ。同市場を支えているのは、世界の総販売量の半分以上を占める、最大市場国の日本である。しかし、アジア太平洋地域の市況は徐々に変わりつつある。

日本が生み出し、巨大市場を形成したRTDコーヒー市場

RTDコーヒー飲料は、1960年代に日本で生まれた。日本国内のRTDコーヒー飲料の一人当たりの消費量は2020年には年間24リットルとなり、世界2位の市場規模を有するオーストラリア(一人当たり7リットル)の3倍以上の規模となるなど、他国を大きく引き離している。しかし、日本市場では需要の成熟化が進む一方、その他の市場国の成長が著しいことから、日本市場が全体に占める割合は徐々に下がりつつある。地域内における日本のシェア(小売数量ベース)は、2015年に77%だったものが2020年に69%に低下し、2025年には67%にまで落ち込むと予想されている。

アジア太平洋地域のRTDコーヒー市場(2015- 2025年)

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Source: Euromonitor International

RTDコーヒー飲料は、特に仕事中に手っ取り早く活力を得たい日本の消費者の人気を集めてきた。日本では多くの職場で自動販売機が設置されていることも手伝い、短い休憩時間に活力を回復させたい多忙な労働者のニーズに合致してきた。

しかし、新型コロナウイルス(COVID-19)の発生に伴い、多くの従業員が在宅勤務をするようになり、RTDコーヒー飲料よりも自宅で淹れたてのコーヒーが飲まれるようになった。2020年、日本におけるRTDコーヒー飲料の市場規模は小売数量ベースで7%減少し、ソフトドリンクの中ではスポーツドリンク飲料に次ぐ減少幅となった。日本では、出社を前提とした旧態依然な仕事文化が根強いが、コロナ禍において企業と従業員が適応力を見せたことから、在宅勤務は今後も柔軟なワークスタイルとして定着するだろう。RTDコーヒー飲料特有のセールスポイントである利便性と高い配架率をもってしても、パンデミック前と同等レベルの需要は見込めない可能性が高い。

アジア太平洋地域で台頭する中国と韓国

アジア太平洋地域では、韓国と中国が今後の成長市場である。RTDコーヒー飲料の一人当たりの年間消費量が、韓国では7.0リットルであるのに対し、中国では0.27リットルであるように、市場の発展度合いは国ごとに大きく異なるものの、今後はこの2か国が同地域の成長を牽引すると予想されている。

アジア太平洋地域のRTDコーヒー市場:各国の市場規模と成長率の予測(2021-2025年)

imagep77k.pngSource: Euromonitor International

COVID-19発生以前の韓国ではカフェ文化が定着していたため、RTDコーヒー市場は伸び悩んでいた。しかし、飲食店でのイートイン営業が規制されたことで、カフェからチャネルシフトした人々により、2020年は前年(2019年)よりも強い成長を記録した。パンデミックが収束すれば、カフェに戻る消費者も増えると考えられるが、カフェのコーヒーよりも安価なものを求める韓国人消費者にとっては、RTDコーヒー飲料が引き続き魅力的な選択肢となるだろう。また、コンビニエンスストアの店舗数が増加していることから、購入してすぐに飲める利便性を求める消費者の需要も満たしていくと考えられる。韓国のコンビニエンスストアの店舗数は2020年も増加し続け、同国におけるRTDコーヒー飲料の主要チャネルとなっている。

中国ではコーヒーを飲むことに対する消費者の関心が高まっている。そのトレンドは、同国のコーヒー専門チェーンであるLuckin Coffee(ラッキンコーヒー)の爆発的な成長によってさらに加速した。コーヒー全般への関心の高まりは、RTDコーヒー飲料の成長も支えており、多くのブランドが新規参入していることから、競争が激化している。例えば、2020年にはCoca-Cola(コカ・コーラ)がCOSTA(コスタ)ブランドのRTDコーヒー飲料を発売した。コスタのカフェ店舗数の増加やCOSTA Express(コスタエクスプレス)というコーヒー自動販売機の増加という相乗効果によって、コスタブランドの認知度はさらなる成長が見込まれる。

中国におけるコーヒー・紅茶専門店の店舗数TOP5(2015-2020年)

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Source: Euromonitor International

アジア太平洋地域における将来的なビジネスチャンスとは 

日本におけるRTDコーヒー飲料への需要は鈍化が予想されるものの、韓国では売上高が大幅に伸びると期待されており、中国でもさらに成長が見込まれている。カフェ文化の発展に伴い消費者の嗜好が洗練されてきたことで、RTDコーヒー市場はより拡大しつつある。特に、新しいフレーバーやカフェインレスコーヒーなど、有名な専門店のトレンドに合わせた製品バリエーションが、この成長を後押しすると考えられる。また、消費者は、コーヒーショップに行くことで味わえるワクワク感や、その魅力的な生活スタイルを感じられるようなRTDコーヒー飲料を求めている一方で、価格についてはなるべく抑えたいと考えていることから、価格設定も重要な要素となる。

世界各国・地域におけるRTDコーヒー飲料などのソフトドリンクに関する統計データや定性情報をお探しの方は、こちらまでお問い合わせください。

(翻訳:横山雅子)

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